作業事例
特殊事情 孤独死、孤立死の後の遺品整理、
特殊事情 孤独死、孤立死の後の遺品整理、
孤独死や自死の後のお部屋のお片付け事例です。 ご事情により、片付けが難しくなった孤独死の現場では、ご遺族の方だけでなく、物件を管理されているオーナー様にとっても大変なご負担が生じます。このような現場ではどのように作業を行っていくのか、アパートで孤独な死の現場の清掃および遺品整理の様子についてお伝え致します。
亡くなられた方のお部屋がいつもの生活のそのままの状態で、呼びかけたら返事が返ってきそうな感じのお部屋から、時として現場が典型的なネグレクトセルフ(自己放任)の状態の時があります。 部屋中を埋め尽くすゴミ、積み上がった弁当の空き箱やペットボトル。 病気や体力の低下、家族との別離、仕事や生活環境の変化など、いろいろなストレスから、これまでできていたことが、徐々に出来なくなっていき、本人が「まだ大丈夫」と思っているうちに、周囲から見ても気づきにくい形で生活が不安定になり食生活や身の回りの管理が少しずつ崩れて、誰にも助けを求められないまま、孤独にそのまま息を引き取られたのだと思います。
そのような現場での作業事例です。
まず現場での作業の手順として 普通の遺品整理より注意深い作業が求められます。
1. 現場到着と最初に配慮すべき問題
現場に到着してまず行うのは、二次被害を防ぐための状況の冷静な把握とリスク管理です。
部屋に入る前に、電気・ガス・水道の状態を確認します。不用意な操作による火災や感電、漏水などの二次事故を防ぐためです。 また、部屋の外まで漏れ出す強力な腐敗臭と害虫の発生状況を確認し、作業員が着用すべき防護具(防毒マスク、密閉性の高い防護服、厚手の手袋など)を選定します。
ドアを開けると、そこには言葉では言い表せない重い空気と強烈な臭いが広がっています。
現場によっては片付けに入るまでの期間、お部屋は臭いが周りに漏れないように密閉され、入ると強烈な腐敗臭に加え 発生したアンモニアで刺すような痛みで目が開けられません。
2. セルフネグレクトがもたらす生活の崩壊
見積もりのために入ると、室内は、典型的なセルフネグレクト(自己放任)の痕跡が残されていました。 数か月分と見られるゴミ、足の踏み場もないほどの残置物、不規則な生活をうかがわせる買い置きの食料品。
セルフネグレクトは、怠惰やだらしないということではなく、本人も自覚がないまま徐々に生活習慣や衛生観念が崩れていくのが特徴です。身の回りのことができなくなり、通院や食事もおろそかになり、やがて周囲との連絡も絶たれて孤立してしまう――。 積まれた荷物の隙間から見える日常生活の痕跡に、故人がどれほど静かに、そして苦しく過ごされていたかが察せられ、胸が締め付けられます。きっと助けを求める気力もなくされていたと思います。
3. 汚染拡大を防ぐ「ゾーニング」と「丁寧な仕分け」
作業において最も重要な原則の一つが、厚生労働省のガイドラインにもある「ゾーニング(区域分離)」です。
汚染区域(レッドゾーン):ご遺体があった場所や体液汚染があるエリア
清潔区域(グリーンゾーン):汚染のない通路や作業員の待機場所
スタッフが出入りするたびに汚染や臭いを外に広げてしまわないよう、動線を完全に分離し、養生テープとシートで厳重に保護します。
その後、足元に注意しながら作業を開始。膨大なゴミの中から、遺族にお渡しするべき「貴重品・重要書類・思い出の品」を慎重に探索・仕分けしていきます。印鑑、通帳、契約書、アルバムなど、どれも故人の生きた証であり、決して誤って廃棄することはできません。
4. 元の空間へ戻すために
私たちは残置物の撤去を請け負っており、徹底的な特殊清掃までは行いませんが、次の業者様が入りやすいように、汚染された布団や床材の撤去、薬剤による除菌・消臭、そしてオゾン脱臭器を用いた脱臭作業をまでは行います。
すっかり荷物がなくなった部屋を見返すと、ようやく一つの役目を終えた実感が湧いてきます。
孤独死は、特別な誰かにだけ起こる問題ではありません。高齢化や核家族化が進む現代において、誰もが直面し得る現実です。 私たちが現場を原状回復に向けて、ご遺族的にも、地域の衛生面にとっても、ひとつの「区切り」をつけるお手伝いができればと思っています。
故人のご冥福を心よりお祈り申し上げます。